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石ノ森萬画館の現状とこれからの街づくり

※「石ノ森萬画館」は、2012(平成24)年11月17日、再オープンいたしました!!

「街づくりまんぼう」の大森さん(左)と本郷さん(右)

「萬画の国・いしのまき」を代表する観光地であり、シンボルであり、全国から多くのファンを集めていた「石ノ森萬画館」。その美しい建物にも津波は容赦なく襲いかかり、1年以上を経た2012年5月現在も、いまだ再開には至っていない。
しかし閉じた扉の前には数え切れないほどの寄せ書きが書かれ、再開を願う人々の想いの強さをひしと感じさせた。

石ノ森萬画館は市の建物だが、石巻市ではなく「株式会社街づくりまんぼう」という会社が運営している。今回は仮事務所が置かれているアイトピア通りのまんぼう事務所に伺って、津波の瞬間をこの萬画館で迎えた同社の大森盛太郎さんと、萬画館に関するさまざまな業務を担当する本郷由華さんに、当時の様子や萬画館の“これから”、街づくりの取り組みについてお話を伺った。

■萬画館の館内は、今どのような状態になっているのでしょうか

萬画館は3階建てで、1階はロビーとミュージアムショップ、2階は展示室、3階はカフェと萬画ライブラリーになっています。1階と3階は入場無料のフリースペースです。

	「街づくりまんぼう」に聞く、石ノ森萬画館の現状と、これからの街づくり

震災当時、津波が5mぐらいの高さまで来まして、1階のガラスを突き破ってショップの品などをすべて流してしまいましたが、1階の天井が8mと高く設定されていたこともあって、2階以上は被害を免れました。チリ地震の教訓からこの高さに設定されたということで、今回はそれに救われたということですね。揺れのあとすぐに閉館し、来館者も避難しましたので、津波が来る前には来館者は誰もいなかったのですが、津波が近づくと、橋の上で渋滞で動けなくなった人など、この近辺で取り残されてしまった人およそ40人が萬画館に避難してきました。私はその方々を上のフロアに誘導しながら、記録のために襲い来る津波の写真を撮影したりしていました。

津波でできた傷跡が残る 1階の壁画

2階へ上るスロープは外壁側がガラス張りですので、すぐ下を濁流が襲っている感じでしたね。その日から数日は、40人で3階のカフェとライブラリーで寝泊まりをしながら、救助を待っていました。

 

■萬画館の展示物や収蔵庫は無事だったのでしょうか

石ノ森萬画館幸いにも萬画館の建物自体はそれほど大きな損傷が無かったのですが、配電盤などが壊滅的な被害を受けてしまいましたので、今も電気が通っておらず、再開ができていない状態です。
中2階のシアター装置は少し水をかぶりましたが、2階の展示物は被害を免れ、損傷も一切ありません。ただ、一部の蔵書や貴重なプレミア品などを萬画館向かい側のアパートに置いていましたので、その損失というのはありましたね。

■萬画館の再開を待ち望む声は多いと思います、再開はいつごろになりそうですか?

街づくりまんぼう

市の予算措置は決まりましたので、われわれとしては10月ぐらい、秋口を目標としていますが、工期がどのぐらいになるかはまだ分かりません。恐らく半年くらいはかかると思っています。
修繕部分は主には1階と配電関連ですが、空調が止まって長いこともあり、場所によってはカビの発生なども見られまして、その全貌は電気を点けてみないと分からない部分があります。

今も津波の爪痕が残ったままの、中瀬へと続く橋

周辺環境にしても、橋の歩道の手すりがまだ壊れたままで危険であったり、対岸の有料駐車場も多くが廃業したり機能停止していたりと、課題はまだまだ沢山あります。建物よりも環境整備により多くの課題があるかもしれませんね。再開に関しては、全国の方からの沢山の支援メッセージや待ち望む声をお聞きしています。その声にお応えするためにも、一日も早く萬画館を再開させたいですね。

■「街づくりまんぼう」が生まれたきっかけについて教えてください

もともとは第3セクターで街づくりを行う組織として生まれたもので、いわゆるTMO(タウンマネジメント機関)です。萬画館については石巻市から委託を受けて運営にあたっています。

「街づくりまんぼう」事務局

実は萬画館が完成する前に石ノ森先生が亡くなってしまい、「マンガランド構想」の街づくりが頓挫しそうになったことがあったんですね。その時市民有志が集まって、「マンガランド構想を広げる会」というのができたんです。これがまんぼうの前身になりました。

萬画館は行政が作った建物なのですが、会では「行政まかせではなく、民間の柔軟な考えで漫画を生かした街づくりを進めていこう」と考えて、第3セクターの会社を立ち上げたんです。これが「街づくりまんぼう」で、メンバーは10人ほどの小さな会社です。

臨時のミュージアムショップとして、石ノ森キャラクターのグッズが販売されている事務局の2階

社内にはいろいろな事業部がありまして、マンガ活用部門、マンガグッズ販売部門、教育普及部門、喫茶店運営部門、各種イベント部門、シージェッター海斗活用部門などそれぞれで独自の事業を行っています。このうち「街づくり事業部」が中心事業でして、震災前には空き店舗の活用、街を回遊させるための仕掛け作りなどにも色々と取り組んできました。ただ、震災後は街の機能がほとんど停止しているので、街の復興に向けた未来のビジョン作りが中心になっています。

実は6月9日にオープンする「まちなか復興マルシェ」なども、私達が中心になって作っているものでして、海鮮を使った飲食店や物販店などが入る予定です。ちょうど萬画館の向かい側ですので、是非お越しください。

■今後の街づくりに向けてのプロジェクトには、具体的にどんなものがありますか

街づくりまんぼう

震災後に関して言えば、この旧市街地地域周辺にお住まいのおよそ950世帯のうち、すでに1~2割の方が街の外に出て行ってしまい、まだ流出が続いているという状況です。旧北上川の堤防も高くなるということで、街の魅力が失われてしまうという危惧もあります。
この状況を打開するために、迅速に真剣に取り組まなければならないというのが現在の状況です。
震災後、「コンパクトシティいしのまき・街なか創生協議会」というものを立ち上げまして、地域の住民に加えて、東北大学の先生方や設計士の方などを招き、市民の意見と専門家の意見を交えた中で、今後の街づくりのデザインを考えはじめています。時には市長や大臣にも同席していただき、みんなで自然との共生、防災など新しい要素も加えての街づくりを目指しています。

もちろん萬画館のこともあるのですが、「まんぼう」はもともと街づくりのための会社ですから、今は街づくりの比重が大きくなっています。確かに萬画館が再開することで交流人口は増えると思いますが、プラスアルファで、この地域の人々の定住者人口を増やすことも、街の復興には欠かせません。そのふたつをうまく組み合わせて、今後の石巻の復興につなげていければと思っています。「今やらないといけない」ことは、本当に沢山あります。

■目指す「コンパクトシティ」とはどんな街なのでしょう

サインや寄せ書きがギッシリと書かれている石ノ森萬画館の入り口

そうですね、単純に言えば「ここで生活が全て成り立つ」というような地域です。もともと石巻は北上川の河口に栄えてきた街なので、歴史・文化的背景を感じられるような街並みを作り、後世に残していきたいと考えています。石巻市民がアイデンティティを感じられるような街にしたいです。
幸いにも震災後は若い方々も積極的に街づくりに関わり始めていますし、外部の専門家の協力などもいただきやすくなっています。石巻が受けた被害は大きいですけれども、これも街を見直す良い機会だと思っています。若い人々のアイディアと、一生懸命に実践する人と、外部からの意見や専門的な視点。これをうまく活用しながら、新しい石巻につなげていきたいですね。

石ノ森萬画館
世界的にも今回の津波は甚大な災害でしたが、今は「津波にも負けずに、石巻はここまで復興しているよ」ということを、世界にアピールするチャンスかもしれません。被災の姿、復興の姿を多くの人々に見て知っていただくためにも、萬画館が再開することは「目指す場所ができる」という意味でいいことですし、石巻の産業全体にもプラスの波及効果をもたらしてくれると考えています。
震災前よりももっとにぎわいのある石巻にできるよう、私たちも頑張っていきたいと思います!

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■石ノ森萬画館(閉館中)
住所 宮城県石巻市中瀬2-7
電話番号 0225-96-5055(街づくりまんぼう)
※再開日は未定

■街づくりまんぼう事務局
住所 宮城県石巻市中央2-5-7

■石ノ森萬画館ホームページ
http://www.man-bow.com/manga/

■街づくりまんぼうホームページ
http://www.man-bow.com/
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