中国料理 新華園本店

中国料理 新華園本店

釜石の港から駅方面へと続く大町商店街。津波はあの日、商店街に沿うように遡り街を飲み込んだ。商店街の真ん中あたりにある、中華料理店「新華園」もその被災店舗のひとつである。

「新華園」は創業から約60年もの間、釜石の人々に中華料理とラーメンを振る舞ってきた老舗。店主の西条優度(まさのぶ)さんの父が、今や東北でも有数の“ご当地ラーメン”となった「釜石ラーメン」の考案者である。

中国料理 新華園本店

「釜石は海沿いだから魚介系のラーメンなのだろう」と早合点してしまいそうだが、「釜石ラーメン」は豚骨と鶏を主体に、少々の和風ダシを加えてスタンダードに仕上げた清湯(ちんたん)スープ。「昔ながらの中華そば風」と形容すれば伝わりやすいだろうか。

中国料理 新華園本店

「製鉄所の人が短い昼休みにさっと食べられるように」と極細に仕立てられた自家製麺が特徴的だ。東京からもわざわざ訪れるフリークがいるほど、「新華園」のラーメンは美味しく、そして釜石のシンボルとしての魅力に満ちている。行列になっていることも多く、地元ではその名がよく知られている。

震災から復活の背景には数々の苦難があったと、西条店主はいつもの表情を少しだけ曇らせながら振り返る。「ここは1階の天井まで水が来ました。家族は建物の3階に避難して無事でしたが、厨房はメチャクチャで、壁もリフトも大破していまして、しばらくは再開しようという気力すら起きませんでした」。

しかし、その心境も時間の経過と、ちょっとした奇跡によって少しずつ変わっていった。

中国料理 新華園本店

「ガレキと泥を片付けていたら、私が30年間愛用していた暖簾が泥から出てきたんですね。厨房もひどい有様でしたけど、不思議と丼はほとんどが割れることなく、無事だったんです。『これは神様がまたラーメンを作れと言っているのかな』と思いまして、それからは、スタッフみんなで必死になって泥を掻き出し、一日も早い再開を目指して動き始めました」

それに拍車をかけたのが、地元の人々からの「早くまた、新華園さんのラーメンを食べたい」という声だったそうだ。

中国料理 新華園本店

「本当は一日も早いオープンを目指していたんですが、資材の調達などいろいろな面で我慢しなければいけない場面もあり、予告していたオープン日は3回も延びてしまいました。結局オープンしたのは2011年の12月。お待たせした常連さんには本当に申し訳なかったのですが、再開した日には涙を流しながら食べてくれた人もいらっしゃって、本当に『再開できて良かった』と感じました」

それから半年余りを経て、周囲でも“釜石ラーメンのれん会”の店が次々と復活し、個性豊かな“釜石ラーメン”を提供しながら切磋琢磨している。

中国料理 新華園本店

のれん会の会長でもある西条さんは、「元祖だからと言ってあぐらを掻いていてはいけない。ラーメンの美味しさは素材をいかにバランスよくまとめて、安定して提供できるかということ。他の店には負けちゃいられません」とにこやかに宣戦布告し、厨房に戻っていった。

ラーメンは1杯500円。庶民的な価格ではあるが、この丼の中には確かな“愛”が注がれている。釜石を訪れた時には、是非とも食べてほしい一杯だ。

中国料理 新華園本店
所在地:岩手県釜石市大町2-1-20 
電話番号:0193-22-1888
営業時間 11:00~20:00
定休日 火曜日
メニュー ラーメン500円、トリレモン780円、半チャーハン300円

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