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h.イマジン

2012年6月22日 金曜日

震災から1年の3月11日に、3度めのオープン
極上の音楽とコーヒーを楽しめるジャズ喫茶「h.イマジン」

三陸道大船渡IC入り口近くのショップの一角に、2012年3月11日、震災から1年後のその日にオープンする「h.イマジン」。今回はオープン直前に取材に訪れることができたので、その様子をご紹介していこう。

h.イマジン

この店は敢えてジャンル分けすれば「カフェ」になるだろうが、普通のカフェの感覚で訪れると少し面食らう。店内に入るとまず、巨大なスピーカーとアンプが 鎮座し、壁沿いには数千枚にも及ぶレコードのジャケットが並ぶ。スピーカーから流れるのは、往年の名手がプレイするジャズのスタンダードナンバー。LPレコードならではのバチバチというノイズが、極上のオーディオセットの魅力を引き出している。

h.イマジン

ジャズファン、オーディオファンを魅了するこの店を営んでいるのは、すでに御歳70歳になる冨山氏。名門ホテルのホテルマンとして勤め上げた後、定年を迎え、第二の人生の道筋を考えた時、思い浮かんだのは俗世や今までの“しがらみ”から徹底的に距離を置いた、別の場所での人生だった。移住の地の条件は、大音量で好きなジャズを聴けて、人家がまばらで、雪が少ない場所。最初に選んだのは碁石海岸にあったログハウスだった。東京でコレクションしていたレコードを持ち込み、地元の人々が隠れ家のように使える、秘密めいたジャズ喫茶を始めたという。

h.イマジン
田舎暮らしを特集した全国誌などにも登場する有名店だったが、その店とレコードは、6年後に火災により失われた。命だけは長らえた冨山氏は、ふたたび理想のジャズ喫茶作りに邁進した。隣町の陸前高田市にあった旧役場庁舎を買い上げ、大規模な改装を施して開店。 以前よりも規模も大きく、緑と赤を基調にしたモダンな雰囲気が大いに話題となり、今度こそは軌道に乗るかと思われた。しかし、開業からわずか2ヶ月で、今度は津波に呑まれてしまった。2度の悪夢を体験し、現在は仮設住宅に暮らす冨山氏だが、その表情に絶望は無い。「なるようにしかならない」それが冨山氏の考えだ。3度目の開店に 呆れる友人もいるそうだが、好きなことをして気ままに生きているという自分の姿が、冨山氏にとっては一番の幸せであり活力の源なのである。

h.イマジン
震災後には全国各地のジャズファンやオーディオファン、知人のジャズ喫茶やプレーヤーなどから多くの寄付が寄せられ、店内にはあっという間に 5000枚にも及ぶレコードが揃った。オーディオも東京のオーディオ会社「ヒビノ」から提供されたもので、東京からトラックで運び入れてくれたものだという。「人の温かさが有難い」という冨山氏だが、その人柄の素晴らしさがあるからこそ、多くの善意を呼び寄せているのだろう。

h.イマジン
テーブルにはコーヒー豆の産地をイメージした国旗が飾られており、カウンターにも美しいデザインのスタンドが配されている。この独特なセンスも他の流行のカフェには無いもので、仮に東京都心にこの店があったとしても話題となりそうだ。それが大船渡の国道沿いにあるのだから凄い。

冨山氏が求めるのは、商業ベースに乗った“儲かるカフェ”ではない。一日の多くの時間を過ごす場所を自分好みに仕立て、その“趣味の空間”を開放することだ。あくまでも自分の幸せが上位にあり、幸せをおすそ分けするというスタイルである。訪れる人も、友人の家に訪れる感覚で、気軽に寄ることになるのだろう。

h.イマジン

この店にはメニューが少ない。コーヒーと紅茶、少しのお酒、そして日替わりのパスタ程度ということだ。気まぐれな冨山氏のことなので、開店後もいろいろと変わってゆくに違いない。ただはっきり決まっているのは、コーヒーを自家焙煎し、注文ごとにハンドドリップして提供するということ。それも最高級と言われるブルーマウンテンとハワイコナの生豆を中心に仕入れ、焙煎したばかりの豆で提供するそうだ。ブルーマウンテン、コナともストレートは1,000円となるそうだが、至極の一杯となることだろう。他の銘柄とのブレンドも用意し、こちらは600円で提供。気軽に訪れる際にはブレンドもお薦めだ。雰囲気の良さ、極上のジャズと最高級のオーディオセット。これだけでも十分に魅力的なのだが、一番の魅力は、マスターとの会話の楽しさだろう。

h.イマジン

これまでの説明だと男性客が多いと思われるかもしれないが、訪れるお客さんの大半は女性。冨山氏のウィットに富んだ会話の中には随所に含蓄ある言葉が含まれ、話していると人柄に惹きこまれてしまう。同年代以外の若い人にも屈託なく話しかけてくれ、良き人生のアドバイザーとなってくれるはすだ。自身を「私は よそ者だから」と謙遜する冨山氏だが、2度転んでも3度目に挑むその力強さは、震災から復興に進む三陸の人々にも大きな励みとなっているに違いない。

※大船渡の「h.イマジン」は2013年9月に一旦閉店いたしました。マスターは2014年3月11日に、元のジャズ喫茶があった跡地に、バンガローイン「レインボーサライ」をオープン。

h.イマジン
所在地:岩手県大船渡市立根町岩脇4-6 LOVOA内
電話番号:090-3527-0700
営業時間:10:00~21:00
定休日:不定休
http://love.ap.teacup.com/himagine/

ちっちゃなクレープ屋さん

2012年6月22日 金曜日

盛駅の少し北側にある、文字どおり小さな小さなクレープ屋さん。イートインスペースは4人掛けのテーブルがひとつのみだが、カフェらしいふんわりとした優しさが漂い居心地がいい。

ちっちゃなクレープ屋さん
この店を営むのは若き木村夫妻。「二人で一緒にできる商売を」と結婚を機にこの店を開いた。
震災ではひざ辺りまで津波の水や泥が来たそうだが、辛うじて営業に必要な設備は難を逃れた。その後も停電や断水の日々が続いたが、遠方に住む兄や親戚からのサポートもあり、4月末から店舗の営業を再開。再開後は、市内の避難所を回ってクレープを焼き、小さな幸せを届ける活動を行ってきた。

震災から1年経った今でも、ご主人は復興のために重機を動かす日々が続いているそうで、夫婦一緒にクレープを焼けるのは週末だけ。それでも、奥さんには再び震災前と同じようにクレープを焼けるという、ささやかな幸せを噛み締めるような、素敵な笑顔があった。

ちっちゃなクレープ屋さん

この店のクレープは、ご夫婦の人柄を映したかのように、優しい風合に仕上げられた品々。クレープに使う生クリームとカスタードはすべて手作りで、砂糖は控えめなので、クリームたっぷりでもペロリと平らげられる。クレープの種類はおよそ50種類ほどもあり、中には「ツナエッグ」「サラダチキンハーブ」などサイドイッチ感覚のものもある。
例年、椿の時期に登場する「椿クレープ」(400円)は、葉にワカメ入りのチョコレート、花芯には特製のカスタードを使い、ピンク色のクレープで巻き込んだもの。まるで本物のような愛らしさだ。椿クレープ特製カスタードは市内の養鶏場「アマタケ」の卵を使って丁寧に炊き上げられたもので、ふんわりと漂う卵の香りが絶品。
「世界の椿館・碁石」で開催される「つばきまつり」では、出張販売も行っているそうだ。

ちっちゃなクレープ屋さん
このほか、三陸鉄道への寄付金が含まれている「三鉄クレープ」(380円)も人気の一品。
三鉄の車体の色をイメージしてイチゴとブルーベリーのジャムをあしらい、クリームの海の上をウミネコが飛んでいる。かつて使っていたウミネコの抜き型は津波に流されてしまったそうだが、兵庫県のある業者さんが過去の写真からこの型を再現してくれたそう。
三鉄の包み紙は、現在は運休中の三陸鉄道盛駅の駅長さんが、「是非使ってほしい」と自らが届けてくれたことがきっかけで使い始めた。まさに人の“絆”が復活させたクレープである。
手作りならではのモッチリと優しい美味しさ、芸術品のように美しい椿のクレープ。そして何よりも、素敵な人柄のご夫婦。大船渡を愛してやまない二人の、小さなクレープ屋さん。是非一度訪れてみてはいかがだろう。

ちっちゃなクレープ屋さん
所在地:岩手県大船渡市盛町町11-8 
電話番号:090-8780-4744
営業時間:11:00~19:00
定休日:火曜不定休
http://crapeya.jugem.jp/

大船渡市社協 復興ボランティアセンター

2012年3月20日 火曜日

「社協」とは社会福祉協議会の通称。全国各地の自治体で、地域福祉の推進をはかる拠点として設置されている社会福祉法人のことだ。大船渡市にも以前から社協は置かれていたが、震災の津波被害を受け、翌日の3月12日から「復興ボランティアセンター」として活動し、市内をはじめ全国から訪れるボランティアの活動の采配を行っている。震災から1年にあたる2012年3月。いま、大船渡のボランティアはどのような局面にあるのだろうか。

大船渡市社協 復興ボランティアセンター

国道45号線沿い、市の総合福祉センターの駐車場の一角に設置されたテントとプレハブが、ボランティアセンターの活動拠点となっている。土曜日の朝8時半、まだ氷点下の冷え込みという中、テントの周りには十数人のボランティアが訪れていた。
受付は初回と2回目以降に分かれており、今日の参加者はほとんどが2回目以降の受付で手続きを済ませていた。

現在、ボランティアの6割以上がリピーターだそうだ。集まったボランティアはその日の分担を伝えられ、数人ごとに現場に向かい出発する。

大船渡市社協 復興ボランティアセンター

この日の作業は仮設住宅の棚作り、復興マップ作り、泥出し作業など。市内のボランティア団体とも連携しており、「さんさんの会」の作業に参加するチームもいた。いずれの作業も、初めての参加でも関わりやすい単純作業が中心で、何度も参加しているボランティアのリーダーが作業を仕切るケースが多い。作業時間は基本的に9時半から15時ごろ。無理をせず、ゆっくりとしたペースで進められている。

震災当初は物資が圧倒的に不足し、がれきの処理や避難所の支援活動などの緊急的な作業も多かったことから、ボランティアの手はいくらあっても足りない状態だったという。しかし1年経った今、被災者の生活の場は避難所から仮設住宅に移り、ボランティアの役割も変わりつつある。

大船渡市社協 復興ボランティアセンター

社会福祉協議会の伊藤勉さんによると、「1年経って、現在はボランティアに対するニーズも、ボランティアに参加する人数も落ち着いてきました。今では基本的に被災者から要望の上がったことに対して支援するようにしています。ボランティアだからと言って、押し付けの支援になっては意味がありません」とボランティア運営の難しさを語る。
2012年3月現在、ボランティア作業を行っているのは週末の金、土、日曜の3日間限定となっている。参加は電話で受け付けおり、基本的に飛び入り参加はできない。日々の活動の様子は公式ブログにアップされており、その週の活動内容と必要人数はブログで予告しているので、その状況を見ながら参加を判断するのがお薦めだ。

伊藤氏によれば、ボランティア参加について、最低限準備してほしいのは下記の通り。
・汚れても良い服装
・宿泊場所、交通手段、食事を自分で確保できること
・ボランティアセンターまで自分で来られること
長靴、スコップ、バケツなどの各種作業道具などはセンターで用意してくれる。

なお、大船渡へは電車で来られないため、他地域からの移動は自家用車やレンタカー、もしくは高速バスとなる。沿岸部を路線バスの数はごく少ないので注意したい。市内のホテル等も復興関係者で連日混み合っているので、宿泊場所の事前確保も必須だ。

復興が進む大船渡ではあるが、現在でも仮設住宅に暮らす人々は約1,800世帯、4,500人にものぼるという。その他にも被災した自宅に住む「みなし仮設」の人々も多い。ボランティアに期待されているのは、こういった被災者の過酷な生活を少しでも楽にしてあげられる、後方支援のような活動である。

大船渡市社協 復興ボランティアセンター

「この1年でのべ27,000人のボランティアの方にご協力をいただきました。でも、これからも細く長く、ボランティアの支援は必要となっていくと思います。どなたでも参加していただけるので、ぜひ一緒に、大船渡の復興を手伝ってください」と伊藤氏は語る。

ボランティアに参加するのは、被災地を訪れる際の「幾つかある目的のひとつ」であっても良い。名所を見て回って、泊まって美味しいものを食べて、お土産を買って、さらに、ボランティアで汗を流す。こういった観光旅行を兼ねた計画も大船渡なら可能だ。「気になっているし応援したいけど、まだ被災地に行ったことは無い」という人は、大船渡から最初の一歩を踏み出してみてはいかがだろう。

大船渡市社協 復興ボランティアセンター
所在地:岩手県大船渡市盛町字下舘下14-1 総合福祉センター駐車場内
電話番号:090-7320-6504
ボランティア受付(8:30~17:00)
作業日:毎週金、土、日曜日
http://ameblo.jp/ooshakyo/

「さんさんの会」 発起人・山崎純さん

2012年3月15日 木曜日
震災の翌日の3月12日。
皿や厨房機器が散乱し、電気も水道もない、薄暗いレストラン。

ここで独り黙々とおにぎりを握り始めた「ポルコ・ロッソ」のオーナーシェフの山崎純氏。その小さな活動はやがて周囲の協力により、「さんさんの会」という大きな輪に広がった。

震災から1年の節目を迎えようとする3月。
山崎氏に、今までとこれからの、大船渡の姿を伺うことができた。

震災の翌日から、いち早く食料の支援を始められた山崎シェフ。
その胸にはどんな思いがあったのですか。

「さんさんの会」 発起人・山崎純さん

実は阪神淡路大震災の時に、僕はローマに修行に行ってしまっていたんですね。
その時は何もできなくて歯がゆい思いをしました。
だから、「今度何かあったら絶対にご飯を作って、困っている皆さんに届けるぞ」って前から決めていたんです。
今回の震災で、津波は店のすぐ前まで来たんですが、幸いにも難を逃れることができました。でも、電気もダメ、水道もダメという状態になって。家が山の方だったので井戸水だけはあって、店のプロパンガスも使えたんです。それで何ができるかって考えて、とりあえず「おにぎりを作ろう」と決めました。
その時、街の状況は何もわかっていませんでした。
テレビも映らないし電話も通じない。この世界がどうなっているのか、なにひとつ分からなかったんです。

それでも店にある米をかき集めて、買えるだけのお米も買い集めて、ろうそくの明かりを頼りにおにぎりを作って、近くの避難所に届け始めました。

震災直後、大船渡には53箇所の避難所があったんですが、その詳しい状況は全然分かっていませんでした。だから僕らは、おにぎりを配るたびに衣・食・住で何が足りないのか、ライフラインはどうなっているかなどを全部調べて、手帳にびっしり書いて回ってました。
それでおにぎりと一緒に、必要な物資を必要とされている分だけ届ける、という活動も並行して始まったんです。

リアスホール

何日かやっているうちに、近所のおばさんや女子高生の皆さんもおにぎり作りを手伝ってくれるようになって、大船渡市から避難所になっている「リアスホール」のキッチンを借りることもできました。
そのあたりから仲間も増えて、活動も大きくなっていったんですね。

僕らはこれを「リストランテ大船渡」って呼んでいました。
53テーブルの、日本一大きなレストランのお客様に、できる限りのサービスを届ける、という思いからです。

でも当時は人手も、食材も、ガソリンも全部不足していたので、全部の避難所を回るのは無理だと判断して、「本当に困っている避難所」を8箇所に絞りました。

そこには、「2日に1度はかならずご飯をお届けしますから、お昼を食べ終わったらお母さん方は休んでください」って声をかけて回ったんですよ。
ご飯を届けるって言っても、ただ作って届けるんじゃ意味がないんです。
必要なものを、必要なタイミングで、必要な量だけ届けることが重要だったんです。
だからその8つの避難所には、必ず2日に1回の夕食に、ご飯とおかずを組み合わせたお弁当を作って届けていました。
厳しい避難生活を強いられながら食事を作っていたお母さん方は、「山崎さんが来る日はご飯を作らなくていいから、ほっとするね」と言ってらっしゃたそうです。

その他の避難所については、行政からの支援が主におにぎりや菓子パンなどの炭水化物だったので、僕らはたんぱく質と野菜を摂れるように、お惣菜を紙コップに入れて届ける活動をしました。1日に紙コップで2000食分くらいは作っていたと思います。
それを各避難所に週3回、届けていました。

最初はおにぎり、それからお惣菜へと、
ニーズに合わせて支援の内容も変わってきたのですね。

最初は塩おにぎりで涙を流す方もいらっしゃるわけですよ。
「自分は生き残った」ということだけで涙が出るんです。でもそれだけでは続かない。

それが紙コップに入ったカレーとご飯になって、炭水化物が十分に届くようになったら、じゃあライスは無しでカレーだけにして、野菜やたんぱく質も摂れるお惣菜にして、最終的にはおかずを何種類も詰めた「おかず弁当」を届けるようになったんです。
食材はギリギリでしたが、ご近所さんや知り合いの法律事務所さんが野菜の仕入れルートを確保してくれたりと、いろんな方の支援があっての活動でした。

「ポルコ・ロッソ」再開後も、「さんさんの会」の活動は続いているのでしょうか。

僕は店を10月5日に再開することにしたので、それを機に「さんさんの会」の活動は卒業しました。でも今もまだ、僕の同級生や友達、知り合いの弁護士さん達は活動を続けています。

今は災害時の緊急避難的な状況からはだいぶ変わったので、活動の内容も仮設住宅の皆さんの生活を支援し、見守るようなものになっています。

これから被災者の皆さんに必要なものは何でしょう。

やっぱり「仕事」でしょうか。復興って、住むところがあればいいわけじゃないんです。将来に対しての夢とか希望がないとね。だから、ちょっとずつでも街の機能を戻していくことが、これから必要なことだと思います。

もちろん復興の作業も仕事のひとつですけど、やっぱり大船渡の人が、自ら経済活動をしていかないといけないと思うんですよ。

そのために必要なのは、この街に来てくれる人を増やすことでしょうね。テレビで見た大船渡の街と、実際に来て見た大船渡の街は、たぶん印象が違うと思います。
立ち上がろうとしている大船渡の現実をぜひ見ていただいて、子ども達にも語り継いでいってほしいと思います。

被災地では「さんさんの会」をはじめ、今も多くのボランティア組織が活動を続けている。しかし被災地に必要なのは、ボランティアの活動、物やお金の支援ばかりではない。多くの人が関心を寄せ、長い時間がかかるであろう復興への道のりを、共に歩み励ましてくれる”心の支援”も必要だ。

シェフの言葉の通り、テレビで見る大船渡の姿は、大船渡のごく一部にすぎない。
五感で感じる復興の姿は、もっともっと、力強く希望にあふれたものであった。

「さんさんの会」 発起人・山崎純さん
(「トラットリア ポルコ・ロッソ」オーナーシェフ)

■さんさんの会
URL:http://blog.livedoor.jp/sansannokai/

三陸鉄道盛駅 ふれあい待合室

2012年3月8日 木曜日

【2013年3月10日追記】

大船渡ふれあい待合室

2012年3月3日に取材に訪れた「ふれあい待合室」を2013年3月10日に再訪。ふらっと立ち寄った人にも「お茶っこ」をふるまってくれる。この日は、玉こんにゃくも振る舞われており、室内に良い匂いが漂っていた。 以前訪れた際には、まだ正式な復旧の目途がたっていなかったが、2013年4月3日に盛~吉浜間の運行開始が決まっている。

大船渡ふれあい待合室

運行がスタートすれば、この「ふれあい待合室」は、「盛駅」としての本来の役割に戻るわけだが、三鉄グッズの販売やお茶っこスペースの提供などは、規模を縮小して、引き続き続ける予定だという。 JR大船渡線も、先だって3月2日にBRTでの運行を再開しており、「盛駅」に駅としての顔が戻りつつあるように感じられた。

 

【2012年3月3日取材】

三陸鉄道盛駅 ふれあい待合室

震災から約半年後の10月初旬、不通の状態が続く三陸鉄道南リアス線の盛駅駅舎に「ふれあい待合室」がオープンした。これは三陸鉄道(通称「三鉄」、第3セクター鉄道)とJRと2棟並んでいる盛駅の駅舎のうち、三陸鉄道側の駅舎を市民や観光客向けに開放したもの。
待合室にはテーブルが並べられ、自由にお茶やお菓子を楽しめるようになっている。仮設住宅への転居などで離れ離れとなった“ご近所さん”同士が、気軽に会える場所としても好評だという。

三陸鉄道盛駅 ふれあい待合室

また、切符売り場の周りにはオリジナルのキャラクターをあしらった「三鉄グッズ」や地元の人々が作った手芸品なども販売されており、訪れる全国からの鉄道ファンやボランティア、観光客らにも人気が高い。簡単なお菓子や漬物が無料で提供されるほか、待合室内ではサンドイッチの販売もしているので、買い物途中やバスの待ち時間に軽食をとることもできる。

三陸鉄道盛駅 ふれあい待合室

そもそも盛駅は南リアス線の発着駅であり、JRとの接続駅であるため、大船渡でも最も利用者の多い駅だった。その駅も津波が膝上の高さほどに押し寄せ、停車していた車両の電気系統も故障。今は沿岸部の路線の補修と、新たな車両の導入を待ちながら運休が続いている。

世界の椿館・碁石 第15回つばきまつり

2012年3月8日 木曜日

大船渡市郊外の碁石海岸にある「世界の椿館・碁石」では、例年1月から4月の椿の開花期に合わせて「つばきまつり」を開催。2012(平成24)年で15回目を迎える恒例の祭りとなっている。

世界の椿館・碁石 第15回つばきまつり

2012(平成24)年は厳冬により、例年よりも1か月遅れて2月12日から4月15日の開催となった。市内には各地につばきまつりのポスターが掲示され、市内はもちろん、全国から観光客が訪れて、震災後一番のにぎわいを見せている。祭りは期間中毎日継続されるもので、特に大きなイベントが催されるものではないが、期間中の週末にはミニコンサート、押し花や寄席上の体験イベント、「椿クレープ」の出張販売などが行われる。

世界の椿館・碁石 第15回つばきまつり

取材に訪れたのは開花のピークとなっていた3月初旬の平日。温室内にある世界13か国、約600種類の椿はおよそ8割が開花し、色とりどりに美しさを競っていた。温室に入るとふんわりと優しい香りが漂い、目の前には色とりどりの花を付けた“椿の森”が現れる。私達日本人にとって「椿」のイメージと言えば淡い紅色だが、日ごろよく目にする紅色で一重咲きの椿は、椿の原種にあたるカンツバキ、ヤブツバキなど。しかし、それ以外にも、世界にはさまざまな色や形の椿が存在するそうだ。

世界の椿館・碁石 第15回つばきまつり

ここに展示されている椿の内訳は、「原種」と呼ばれる野生種が和種5種類、洋種20種類。それを園芸用に改良した「園芸種」となれば、和種460種類、洋種115種類にもなる。その割合を見ても、いかに椿の花が日本人に愛されてきたかが分かる。冬によく見るサザンカや、日本茶や紅茶の原料となるチャノキもツバキ科ということだ。園内を散策していると、同じ椿でもずいぶんと枝ぶりや幹の色、花の付き方が違うことに気づく。こうして一度に多くの椿の開花を見られるのも、温室内で管理されているからこそ。珍しい椿としては、椿の原種にあたるものの一種「金花茶」があるそうだが、これは30年ほど前に中国で発見され「幻の椿」などと話題になったもので、温室内にも数本植えられており、ちょうど開花期を迎えていた。園芸種のような派手さは無いが、上品な淡い黄色の花が下向きに咲き、なんともはかなげである。

世界の椿館・碁石 第15回つばきまつり
温室内に咲く世界の椿は、それぞれの気候や土壌に合わせるためか多くが鉢植えにされており、枝の剪定、咲き終えた花の摘花など、隅々まで手入れが行き届いているため野生の椿と比べても一皮剥けたような美しさがある。通常であれば朽ちた花や風雨で傷ついた花も交じってしまうので、これほど美しい椿の森を楽しめるのも、温室ならではの魅力だろう。この椿館も3.11震災の際には損壊被害があり、何よりもその後の2ヶ月にわたる断水で苦難を強いられたそうだが、思い切った剪定を施して乾燥に耐え、1年後には美しい花を咲かせた。その生命力のたくましさは、大船渡の人々にとっても大きな励みとなっているようだ。

世界の椿館・碁石 第15回つばきまつり
なお、「世界の椿館・碁石」の入館料は季節ごとに変動し、1月からの開花期の入館料は大人500円、小中学生300円などとなる(開花していない時期は大幅に割引される)。高く感じる人もあるかもしれないが、これほど手入れが行き届いていることを考えればむしろリーズナブル。チケットを購入する際には「共通券にしますか?」と聞かれるが、これは歩いて1分ほどの場所にある「大船渡市立博物館」との共通入館券のこと。わずかなプラス額なので、共通券を選ぶのが賢明だ。

色とりどりの椿が咲く温室内は、さながら“桃源郷”の雰囲気。特に写真撮影を楽しみたい人にとっては理想的な環境だろう。「つばきまつり」期間中には観光バスも多く訪れ混み合うので、できれば平日に訪れて、ゆっくりと椿の奥深さ、美しさを堪能してみたい。

世界の椿館・碁石 第15回つばきまつり
所在地:岩手県大船渡市末崎町字大浜280-1 
電話番号:0192-29-4187
開催期間:2012(平成24)年2月12日~4月15日
営業時間:9:00~17:00
休館日:月曜日(祝日の場合は火曜日)
http://www13.ocn.ne.jp/~goishi/

大船渡出身のシンガーソングライター HAMAさん

2012年3月8日 木曜日

大船渡に生まれ育ち、現在は東京で活躍しているシンガーソングライターの「HAMA」さん。彼女が震災後、本名である濱守栄子の名で出した曲「国道45号線」は現在、岩手県トラック協会のCMソングとして使われるなど、注目を集めている。

シンガーソングライター HAMA(濱守栄子)さん

HAMAさんは、2007年までは岩手県内を拠点にインディーズ活動を行っていたが、2009年に東京に拠点を移してメジャーデビュー。関東と東北の両方でテレビやラジオなど多数のメディア出演やライブ演奏をこなし、ラジオのパーソナリティや各種イベントでの司会など多彩な才能を発揮している人である。2011年1月からは大船渡市の「ふるさと大使」にも任命されている。

そんなHAMAさんであるが、震災後には地元の支援活動に注力し、ほぼ毎週のように大船渡をはじめ被災地を回り、歌声を届ける活動を続けている。今回はそんな活動のひとつ、大船渡屋台村でのミニコンサートの様子をお届けしたい。

シンガーソングライター HAMA(濱守栄子)さん

この日は3月2日、震災までHAMAさんが屋台村にPAというイベント用スピーカーのセットを寄贈。活気を取り戻すために活用してほしいとの願いを込めて渡された。HAMAさんは被災地だけでなく首都圏などでもこうしたミニライブを開き、義捐金集めや情報発信を行い、自身のCDの売り上げからも義捐金を出しているそうだ。

HAMAさんが震災後に出した楽曲には、「震災を忘れないでほしい、大船渡を一度見に来てほしい」というメッセージが乗せられている。

まちづくり復興支援プロジェクト けせんふぇす

2012年3月7日 水曜日

サン・アンドレス公園

東日本大震災では大きな被害を受けた大船渡。そこは、自然豊かで、海の幸、山の幸に恵まれ、人情味溢れた場所。そんな故郷を、自らの手で再生しようと立ち上がったのが、まちづくり復興支援プロジェクト「けせんふぇす」。
未来の輝く故郷を創造するための第一歩として、2012(平成24)年5月、フェスティバルが開催される。被災地における人々の「心の元気」を支える一助となることを願うとともに、県外からも人が集まって来ることによって、災害の風化防止、交流人口の増加、地元への経済効果が期待される。
5月4、5日の両日、ミュージック・ファッションショー・キッズショーなど様々なパフォーマンスが楽しめる「ステージエリア」、美味しいものを食べたりショッピングを楽しめる「ブースエリア」、体験や展示などにより未来の故郷の姿を実感できる「環境未来都市エリア」が設置される予定だ。
会場は、津波の被害も受けた「サン・アンドレス」公園。フェスティバルの開催に向けて、ボランティア等による公園の整備も進んでいるようだ。
東京からのバスツアーもあるようなので、興味のある方は、ぜひ足を運んでみてほしい。

まちづくり復興支援プロジェクト けせんふぇす
所在地:岩手県大船渡市大船渡町 
http://kesenfes.com/